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2008年11月24日 (Mon)

間に合わんかったああああああああ!(泣)

遅筆を恨むべきなのか。いやむしろ、昨日、単純な操作ミスで途中まで書いてた部分を全部消した過去の自分を恨むべきだ!
…………本気でヘコみますorz

ワードで書いている時点で小話でもなんでもないんですが、
そもそも小話とは名ばかりの長文なのは常ですが、
こっちに乗せるって書いた気がするのでこっちに乗せます(確認しろ)
ぶっちゃけ名前変換めんどげふんげふん!

というわけでジェイドさん誕生日おめでとう!


 


 

 あえて言おう。こんなことはざらにあるのだと。

 一年に一度の誕生日を、同じ場所で過ごせないことなど当たり前。何せお互いに軍属なのだ。世間一般では『皇帝の双刀』などと言われ、実際、お互いにお互いを『相棒』と思ってもいるが、そもそも所属する部隊が違う。ジェイド・カーティスは第三師団の師団長で、セレスティ・クラインは第三師団附属連隊の連隊長。附属といえど、連隊である以上は独立した部隊であり、独自の任務がある。

 とりわけ冬季は、ケテルブルク近郊におけるモンスター討伐やら、皇帝の名代としての遠方視察やら。かえって同じ任務に就くことの方が少なく、シルフリデーカンとはまさにそういう月だった。今年も例に漏れず、四週間程前から、民間の要請による治安維持に出向いていた第三師団がグランコクマに帰還したのは、シルフリデーカン・ノーム・23日の午前2:00。帰還中の戦艦では、すれ違う部下たちから「おめでとうございます」をなん百回と貰ったが、既に日付は変わっている。

 一人ではまともに眠れもしないセレスティ・クラインは、夜中の2:00だというのにソファの上で本を読んでいて、何か言う素振りもなけれは寝る素振りさえみられない。

 だから、ジェイド・カーティスも、寝るに寝られず、キッチンをうろうろしている。

 紅茶でも淹れればいいのだろうが、いかんせん、明日―――いや、既に今日、は、早朝に陛下との謁見。タルタロスの荷ほどきをして、整備などの雑務を仕切り、議会へ提出する書類の作成。行軍を終え、帰還したからといって、すぐに休みが取れるわけでもない。我が身を思うならばさっさと寝るべきなのはわかっているが、どうにもそういう気分になれないのは、多分、期待でもしているのだろう。

「…………」
 ひっそりと溜息を吐く。真夜中の室内には、セレスティが本を捲る音と、彼女の手元を照らす灯りの爆ぜる音だけ。平静を装っていた背中が揺れる。……『装って』?

 そういえば、彼女はどうしてここで本を読んでいるんだろう。
 第三師団付属連隊は、今日の9:00からケテルブルク遠征。一人で寝れないといったって、自室でごろごろしていれば、ジェイド・カーティスは勝手に部屋に入っていくし、勝手に彼女の傍に座る。それなのに、どうして、居間で、わざわざ本を見ながら。

 何を、待っているのだろうか。

「……セレスティ?」
「んー?」

 てきとうな返答。彼女の目線は本から動かない。が、確信。あれは本なんぞ読んでいない。もしや、「おめでとう」の一言の為にやきもきするジェイドが見たくて、知らぬ存ぜぬを貫いているのかもしれないが、それにしては、彼女らしからぬ、相棒の一挙一動にいちいち気を揉む態度。
 一体、何を待っているのか。8歳年下の幼馴染の思考回路は、時折、理解に苦しむ。しかして、どうにも。決着がつかないことには、この幼馴染が寝そうにない。長期戦覚悟とくれば、眠気覚ましは必要だ。

「……紅茶でもお淹れしましょうか?」
 平静を装う背中が揺れる。セレスティ・クラインはようやっと本の文面から顔を上げて、妙に嬉しそうに頷く。

「ん」
「……ずいぶんと楽しそうですが、以前のようにアールグレイだけ根こそぎ消えてたりしたら怒りますよ」
「それはない」
「どうですかねぇ」
 ジェイド・カーティスは、肩を竦めて、紅茶用の棚を開ける。

「ふん」
 セレスティ・クラインが、小さく、鼻を鳴らす。紅茶用の棚に陳列されている紅茶の数は、減っていないが、増えていた。
 

 『Happy Birth Day』と書かれた小さな缶が。

 
「…………」
 ジェイド・カーティスは、納得する。

 午前2:00。こんな真夜中に本を読んで待っていた理由は、結局、この缶を手に取ったジェイド・カーティスの反応が見たかったのだ、という、それだけの話。驚くでも喜ぶでもスルーするでも、とにかく、手に取るところが見たかったのだというだけ。

 あまりにも、単純な話。

 まるで子どものようだと思う。ひどくくだらないことに、万金の価値を見出す純粋な子ども。たったこれだけの為だけに、貴重な休息の時を削って、いつ帰ってくるかも定かにはわからないジェイド・カーティスを待ち続けるという愚行。

 それが、これほどに愛しいというのは、結局のところ、自分がほだされたということなのだろうか。

 ジェイド・カーティスは、掌に収まるくらいの、円柱の缶を、手の内で転がす。
「……ありがとうございます」
「別に」

 セレスティ・クラインはあっさりと答える。彼女にとって多分、誕生日プレゼント自体はさして重要な意味を持たない。肝心なのは、それを受け取ったジェイド・カーティスその人の感情の動き。きっと今は、彼が薄く微笑んだことに安堵している。

 その在り方を、好ましいと。

「―――大切にします」

 いつかの幼い日、同じ風に思ったことが、全ての、始まり。



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「おめでとう」を言って欲しくてじりじりする大佐と、いつ気付くかとじりじりする大佐が書きたかった(笑)

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