日々のこととか、小説の進捗状況とか。
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思いついたのでリベンジしてみる。
同じ一人称でも今回はヒロイン視点。ジェイドがいかに酔っ払うか(笑)
「実際、ジェイドの旦那ってどれくらい酒に弱いんだ?」
そろそろ夜も更ける頃、追加の書類を持ってきたガイラルディアに質問されたから飲ませてみることにした。都合よく冷蔵庫の中に入っていたチューハイを持ち出して、無言で突き出すと相棒は渋柿でも喰ったような表情になったけれど、「イヤならいいよ。お前のことハブにしてガイラルディアと酒盛りするから」と脅すと大人しく一缶空にしてくれた。―――それから五分。
「とまあ、こんくらい弱いよ、コイツ」
オレは、現在進行形で相棒ことジェイド・カーティスに抱かれている。
抱かれている、と言ってもそのニュアンスに性的なものは一切含まれない。簡単に、且つ適切に表現するならばテディベアをぎゅっとする子どもみたいなかんじ、だろうか。眼鏡の向こうのルビーの瞳はすっかりとろけきっている。時々首がかくかく揺れる。きっと眠いんだろう。
「…………」
ガイラルディア・ガラン・ガルディオスは、ひとしきり絶句して、それから、中身の少ないチューブを絞り出すように、ようやく、言った。
「……お、重くないですか?」
「いや、そんなに」
「わらしがこのひとにそんなふたんかけるわけらいでしょうばかにしてんですかがい」
「呂律回ってないぞ旦那」
オレの肩に顎を乗せてうっつらうっつらしているジェイドの頭をわしゃわしゃと撫でて、オレは自分用のとっくりに酒をどぼどぼと注ぐ。オレが飲んでいる方はチューハイみたいなアルコール低めじゃなくて、セントビナーに伝わる昔ながらの製法で作られたキッツい蒸留酒だから匂いを嗅いだだけでジェイドはうーうー唸っていたけど。「面白い酔い方するだろー、コイツ」
「は、はあ……」
ガイラルディアは、大人しいから触ってみろ、と言われて見たらライガだった、みたいな引きつった表情をしている。
「か、絡み上戸なんです、ね……」
「むしろ絡み下戸? とにかく引っ付きたがるんだよなー。面白いから月一くらいで酒飲ませたりすんだけどさ、一生飲めるようにならねーの」
「そ、そうですか……」
「ま、明日になったら記憶ぶっ飛んでるからリラックスしろよ。ガイラルディアはお酒飲める方だっけ?」
「そこそこ……、あの、そこそこだから蒸留酒とかは勘弁してくれホントに」
たっぷり注いでやろうと思ったら、見越されたのか速攻でとっくりを遠ざけられた。
しかも背中の相棒が律儀に反応してぺしんとオレの手の甲を叩く。酔っ払いの殴打なんざ、子どものしっぺと同じようなもんだけど。
「んー? 何だよジェイド」
「ガイばっかりかまわらいでください」
「何? 妬きもち?」
「うるさいれすよ……」
「はいはい。ったく、仕方のねえヤツ」
おざなりに髪をぐしゃぐしゃかき回してやると、ひとまずはそれで満足したのか、ジェイドは毛繕いする猫みたいに目を細めて本格的にオレにもたれかかる。いい加減、思考回路が限界のようだ。
ガイラルディアが、結局、入れる酒のなかったとっくりを床に置いて、言う。
「クライン大佐、ものすごく楽しんでるな?」
「あー、なんかこう、めちゃくちゃ警戒心強くて懐かない犬とか手懐けたかんじ?」
むずがゆそうに唸る声に寝息が混ざる。どうせ明日になったら忘れてしまっているだろうから、オレは小さく答えを付け足した。
「ま、単にベタベタして欲しいだけだけどね」
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